「自由に使える血税」の全てを、国民のためでなく「自分のため」に活用している財務省と「国際リニアコライダー」



宇宙開闢の謎を探る、直線型(リニア型)次世代加速器
「国際リニアコライダー(以下、ILC)」について、
日本政府が、アメリカ、欧州と誘致検討のための国際協議に入ることを正式発表しました。

辛うじて、首の皮一枚、繋がった印象です。

日本政府がILCについて態度を表明したのは、今回が初めてです。

もっとも、誘致決定ではなく、判断の先送りであることは間違いありません。

すでに、次期欧州素粒子物理戦略(2020~24年)の検討が始まっており、
そこにILCが載らなければ、ジ・エンド。

日本政府は省庁横断の連携体制を整備し、アメリカ、欧州とILCの運営等について
意見交換を開始することになります。

最終的な判断は、2020年に先延ばしにされました。

次なるデッドラインは、次期欧州素粒子物理戦略の決定「前」ということになります。

人類の文明をすら変えてしまうILCについて、なぜ、日本政府がここまで躊躇するのか。

理由は言う間もなく「カネ」です。カネ、カネ、カネ。

総額8千億円、日本負担分が5千億円の建設費が、緊縮財政路線の日本政府には出せない。
あるいは、現時点で「出します」と表明できない。まことに情けない限りです。

藤井先生が、明らかにしてくださいました。以下に紹介します。

【藤井聡】財務省は今、安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の全てを、
国民のためでなく「自分のため」に活用しています。

こんにちは、京都大学の藤井聡です。

突然ですが今、
経済、財政、金融、防衛、科学技術、インフラ、農業等の様々な視点から、
今後の日本の政治のあるべき姿を「提言」する本を書いています。

出版は5月か6月頃になるかと思いますが、それを執筆する中で、
現在の安倍内閣による政治が、一体どのようなものだったのかを
客観データに基づいて「検証」する作業を進めています。

その中でとりまとめてグラフの一つがこちら。

この一枚のグラフは、今の日本で展開されている「政治の本質」を理解する上で、極めて重大な意味をもっています。

今日はこの「一枚のグラフ」が暗示する恐ろしい「真実」を、解説したいと思います。

安倍内閣下で税収は、実に17兆円も拡大しました。

安倍内閣誕生時点の2012年度の税収が42兆円に過ぎなかった一方で、2018年時点では59兆円にまで拡大したのです。

詳細はまた別途解説したいと思いますが、
消費増税によって7兆円、世界経済の好景気に牽引される形で実現した「26兆円もの輸出拡大」によってもたらされた経済成長による自然増収10兆円によって、合計17兆円、割合にして実に40%も拡大したのです。

では、この17兆円の増収を、安倍内閣は一体何に投入していったのかを検証した結果、
得られたものが、このグラフなのです。

ご覧の様に、圧倒的に多くの「増収分」が、「赤字圧縮」政策に投入されています。

「赤字圧縮」政策とはつまり、「借金削減」政策であり、広い意味で言えば「借金返済」政策と言うこともできます。

その金額は10兆円、17兆円の増収の実に「6割以上」もの水準に達しています。

具体的に言うなら、安倍内閣は、新しく国債発行額を縮減するために10兆円もの巨大な税収を活用したわけです。

その一方で、社会保障の拡大に6・6兆円が活用されているのを除けば、17兆円の増収分は、その他の政策項目にほとんど活用されていない様子が見て取れます。

公共事業が0・2兆円、
防衛が0・5兆円拡大していますが、
その拡大分は17兆円の税収拡大分から拠出されているというよりはむしろ、
総務省が所管している「地方交付税交付金」を1兆円以上削ることで拠出したものです。

そして、文部科学行政や環境、農水、外交に到っては、予算が全く増えておらず、17兆円の増収分が「一切」活用されていないのです。

つまり安倍内閣は税収が40%も拡大し、17兆円も豊かな収入が得られる様になったにも関わらず、(法律的に拠出する金額が規定されている)社会保障の増分には致し方なく充当している一方で、それ以外の全て、実に増収の6割にあたる10兆円以上もの大量の税収を、「赤字圧縮」行政に投入してしまっているのです。

言うまでも無く、「赤字圧縮」政策を推進する官庁は財務省。

一方で、それ以外の政策項目を所管する省庁は、その他全ての省庁です。

そして、この予算の配分を決定する事務を所管するのも財務省です。

つまり財務省は、17兆円もの増収分をどこに投入するかを決定する事務を所管しているわけですが、法律的に削除することが原理的に出来ない「社会保障」に致し方なく一部(しぶしぶ)回した上で、防衛や公共事業など、政策的に拡大することが必要な部分については、
僅かに増やしたものの、その拡大分も、地方自治体に回す交付税交付金を削ることで捻出したのです。

つまり、防災や国防など、国家国民の最低限の安心や安全のため行政には予算の拡大が必須ではないかという声に応えるために、財務省は、地方自治体に回す分をむしり取って、その分のカネを用意したというわけです。

こう見れば、「赤字圧縮」行政を所管する財務省は、安倍内閣下で、「赤字圧縮」政策ために必要な「支出の抑制」の仕事をほぼ完璧にやり遂げたのです。

そしてそれを通して、10兆円にも上る国民の血税を政府の借金、あるいは赤字を圧縮するため「だけ」に活用したのです。

すなわち・・・

財務省は今、安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の「全て」を、国民のためでなく自分のために活用しているのです。

借金返済は何の富も国民にもたらさないにも拘わらず、そして、もしも他省庁の「国民のための行政」に活用していれば、経済が成長し、税収がさらに拡大していたにも拘わらず・・・

一人でも多くの国民が、この恐るべき真実を理解されんことを、心から祈念したいと思います。

以上。

財務省は消費税増税や円安により増加した税収の多くを、赤字・負債の圧縮に使ってしまっています。

2012年と比較すると、2018年の税収は17兆円増えていますが、

内、10兆円強が財務省による財政赤字の圧縮、つまりは負債返済に消えてしまっているのです。

18年に財務省が赤字圧縮のために使った10兆円のうち、わずか5%(5千億円)を
ILCに使ってくれれば、少なくとも日本負担分はクリアされます。

ILCという人類の文明に貢献するプロジェクトが緊縮財政で実現できない反対側で、
財務省が10兆円の「増収分」、つまりは我々の税金を無意味どころか有害の赤字圧縮に使う(これも緊縮財政ですが)。

これが、日本の現実というわけです。

正直、正気を失っているとしか思えないわけですが、この現実を踏まえた上で、
「どうするのか?」を具体的に考えなければならない時期です。

特に、ILCは「誘致」を既成事実化し、早急に予算を(通常の文科予算とは別に、追加的に)確保しなければなりません。

国民一人一人が「正しい知識」「正しい情報」に基づき、動くことができるのか。

日本国にとって、決定的な分岐点が到来したのです。

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