明治以降の近代化は、人類の歴史の奇跡なのか? 前編



英国の歴史家のアーノルド・J・トインビーは、世界でも名だたる歴史家で分析文明評論家で歴史学者でもあります。その彼が、
「日本の明治以降の近代化は、人類の歴史の奇跡の一つ」と言っています。

「明治になって、一気に日本人が変貌した」
と思われていたのでしょうか?

トインビーでさえも、なぜなのかという事がわからなかった。奇跡というのは分析を諦めている証拠だからです。世界に名だたる歴史家でもこのような評価をしているという事です。

ところが、英国人にとっては奇跡でも、日本人から見れば、必然であった、事が、この動画を見ればわかります。

江戸時代から明治時代に向かった近代化というのは、一言で言うと、「幕藩封建体制」から「国民国家」への変身です。

清(しん)で、アヘン戦争があり、その後、黒船が日本にペリー艦隊が日本列島にやって来ました。日本国内では、この黒船をめぐってどうするのかという事が、大きな論争のテーマとなり、それで大政奉還へと繋がり、王政復古の大号令がありました。

そして、戊辰戦争を経て、江戸が戦火に見舞われる直前に、勝海舟と西郷隆盛との会見で、江戸への攻撃がなされない事が決まり、戦火を免れた、という事がありました。決定的な国内分裂が避けられたわけです。

もちろん、血気盛んな武士たちの多く、血を見なければ収まらなかった事もありましたが、それは局地戦に過ぎませんでした。

数で遥かに上回り、フランス製の武器を使う幕府軍が、イギリス製の武器で固めているとはいえ少数派に過ぎない薩長軍に降伏したおかげで、国内を二分する内戦状態にならなかったというのが、幕末の物語です。

この話、ヨーロッパ人には理解できない不思議な事があります。

それは何でしょうか?

この話、ヨーロッパ人には理解できない不思議な事。

それは、なぜ通訳がいないんだ、という事です。
こんな事は、世界ではあり得ません。

ヨーロッパで使われていた言葉は、もともとはローマ帝国の公用語のラテン語だったのに、現在では様々な言語に分かれています。世界の常識では、言語というものは分裂する運命だからです。

日本の国土は北から南までだと、ヨーロッパではドイツのベルリンからスペインのバルセロナまでの距離と同じです。そして、中央に脊梁山脈が走っていて、各地は地形で分断されています。そこに住んでいる人達が同じ言語をしゃべるなんてことは、他の国ではあり得ません。

その象徴が「旧約聖書」にあるバベルの塔ですね。ノアの子孫の人間たちが天にも届くような塔を造っているのを見ていた神様が、人間のしゃべる言葉をバラバラにして建設させないようにしてしまいます。それで、皆が各地にバラバラに散ってしまうという話です。
これ以降、人間はどんな土地へ行っても違った言葉をしゃべる宿命に追われていくことになります。

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