三種の神器 後編



この時に使われた八尺鏡(やたのかがみ)と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が三種の神器の二つです。天皇の践祚(せんそ)に際して、この神器のうち、八尺瓊勾玉ならびに八尺鏡とこれから話す天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の形代を所持することが皇室の正統たる帝(みかど)の証しです。
ちなみに、八尺鏡は伊勢神宮の内宮に収められています。八尺瓊勾玉は皇居にあります。
八尺鏡こそが天照大神(あまてらすおおかみ)の分身であり、ちなみに収められている伊勢神宮の内宮は西と東で20年ごとに建て替わります。式年遷宮(しきねんせんぐう)ですね。別の動画で詳しく解説したいと思います。

三つ目の神器は須佐之男命(すさのおのみこと)と関係が深いのですが、神々の住む高天原を追放され人間界に落とされた須佐之男命は出雲の国で川を遡って歩いていると、立派な屋敷に遭遇しました。その屋敷の前で、須佐之男命は娘を間に泣いている老夫婦に出会いました。その娘である美しい少女櫛名田比売命(くしなだひめ)がその地を荒らしていた巨大な怪物八俣遠呂智(やまたのおろち)への生贄にされそうになっており、それを悲しんで泣いていたことが分かり、それならば、自分が退治してやろう、その代わり、櫛名田比売命(くしなだひめ)を嫁にもらう、という約束をして、八つの首と八つの尾を持つ怪物、八俣遠呂智に立ち向かいました。須佐之男は櫛名田比売命(くしなだひめ)を歯の多い櫛に変えて髪に挿し、老夫婦に八つの瓶(かめ)を用意させて。そこに濃い酒を満たし、八俣遠呂智を待ち構えました。まもなく八俣遠呂智がやって来ると、八つの首を瓶(かめ)に入れて、酒を飲み干しました。気持ちの良くなった八俣遠呂智はそこで寝込んでしまい、神産みにおいて、伊弉諾(いざなぎ)が火の神である加具土命(かぐつち)を切り殺した十束剣(とつかのつるぎ)で八俣遠呂智を切り殺します。その際に、尾から出てきたのが、三種の神器の一つである天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)です。「これは不思議で霊妙な剣だ。どうして自分の物にできようか。」と思った須佐之男は高天原の天照大神に献上しました。

その後、櫛から元に戻した櫛名田比売命(くしなだひめ)を妻として、出雲の根之堅洲国(ねのかたすくに)にある須賀(すが)の地へ行き、そこに宮殿を作り、住みつきました。そこで須佐之男が須賀神社を建てましたが、その時に詠んだ句が、

「八雲立つ  出雲八重垣   妻籠に   八重垣作る   その八重垣を」(やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)と詠みました。

です。須賀神社は「古事記」に記された、日本初の神社です。

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