経済力の本質

4月14日午後9時26分頃、
熊本県益城町付近を震源とする最大震度7の地震が
発生し、その後も大規模な余震が続きました。

そして、16日の午前1時25分頃、
熊本県熊本地方でマグニチュード7.3の大地震が発生。
14日の震度7が「前震」だったことが判明し、驚愕しました。
さらに、午前4時前には阿蘇地方を震源とする地震で
震度6強を再び観測。

熊本・大分震災(なぜか「震災」と呼ばれないのですが)では、
本稿執筆時点でも、未だに余震が続いています。

本稿執筆時点(4月20日)で、14日以来、
震度5弱を超える地震が17回も起きたのです。
信じられないほどの大地震の「頻発」です。

一連の地震で、すでに48名の方が亡くなられました。
熊本県出身の三橋としては、心底からの悲哀を感じています。

東京暮らしが長くなりましたが、それでも熊本は
生まれ故郷なのだと、普段は意識しない事実を、
痛烈に感じさせられています。

熊本など九州は、比較的「地震が少ない地域」と
思われていました。結果的に、市庁舎などの耐震化が遅れ、
今回、大変なことになってしまいました。

特に、宇土市の市庁舎が半壊状態になってしまったのは、驚きです。
市庁舎が使用不可能になると、何しろ「救援の拠点」が
存在しないという話になってしまい、救援活動が滞らざるを得ません。

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無論、復旧、復興も大幅に遅れることになります。
今回の震災からの復旧、復興を果たすと同時に、全国の市庁舎、
町役場、病院、学校等の公共建築物を早急に耐震化し、せめて
1981年の耐震基準を満たすよう、建物を補強しなければなりません。
補強では無理というのであれば、当然ながら建て替えが必要です。

さらに、今回は被災地の周囲の交通インフラが
利用不可能となり、物資の供給が滞る事態に至っています。
現在の熊本は、一時的に「インフレ型貧困」に陥っていることになります。

インフレ型貧困とは、モノやサービス(今回で言えば運送サービス)の
生産が不足し、国民が「飢える」形で陥る貧困です。日本国は全体では
デフレですが、震災で道路が使用不可能になり、橋が崩落し、
被災地に物資を届けられない状況になっています。

インフレ型貧困に陥った国、あるいは地域では、
どれだけおカネがあったとしても、貧困から逃れられません。
何しろ、消費するモノやサービスがない、あるいは供給されないのです。

現在の熊本を見ていると、「経済力」の本質が分かるはずです。
経済力とは、おカネの量ではありません。インフレ型貧困に
突っ込んでしまうと、おカネなど何の役にも立ちません。

役に立つのは、モノやサービスを生産する力です。特に、
世界屈指の自然災害大国である以上、我が国は「防災安全保障」
における経済力を、常に強化していかなければならないのです。

もちろん、企業や家計にとってはおカネは重要です。
とはいえ、おカネを発行できる政府にとってはそうではないのです。
それにも関わらず、政府までもが「カネ!カネ!」「予算!予算!」
「節約!節約!」とやっているのが、現在の日本国です。

今回の熊本・大分震災を受けてさえ、「カネ!カネ!」から、
防災安全保障におけるモノやサービスの生産能力、経済力の強化に
舵を切ることができなければ、我が国はそれほど遠くない将来に
「亡国」に至ると確信しています。

三橋貴明

引用:月刊三橋会員限定『メルマガ月刊三橋』2016・4・21
https://mail.google.com/mail/u/0/#inbox/154372183df52d5a

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